軸
軸がない
私の心には軸がない
さらさらとした砂の土台
そこに時々
軸になりそうなものを立てようとする
恋
結婚
仕事
アイドル
だけど砂の土台には何も立てられなくて
すぐに崩れて埋もれてしまう
いつも緊張していなければ維持できない
維持することは困難で疲れ
最後には
軸になりそうだったそれは砂に飲み込まれる
立て損ねた軸の残骸は砂の底
どんなにたくさんの砂をそこへ注いでも
流れて
流れて
流れて
なにも積み上げることはできない
あたしの心には軸がない
土台もない
全部吹き飛んでなくなればいい
どうせ何も成すことはできない
あってもなくても同じ
砂ではない土台を持つひとがいる
柔軟でいて軸を立てるときには
必要な強度に仕上げることができ
軸を立てることも
維持することも
容易くやってのけるひとがいる
あの土台はどこで手に入れたものだろう
持ち主は普通のことだと不思議そうに言う
普通のことが普通に解らない私には
その土台を自分のものにする方法も
解らないまま
軸が欲しい
どうか私を支えて
願えば願うほど砂は減っていく
軸は立てられない
ますます遠のいていく「普通のこと」
私の心には軸がない
絶え間なく与えてくれたひとも
もういない
与えられないことを嘆きながら
救いを求めて軸の残骸を掘り出す
ああ
幸せだったのだと
気付く
全ては遅すぎる
砂はいつか強い土台に変わるだろうか
残骸を立て直すことに意味はあるだろうか
わからないまま
私はひとりで軸を立て始める
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